JAPAN ミック・カーン (2) その音は永遠に

以前も紹介したJAPANのベーシスト、ミック・カーンが2011年1月4日、ロンドンで亡くなったそうです。

公式サイトによると、家族や友人に看取られながら息を引き取ったとのこと。
52歳、若すぎる。肺ガンだったそうです。


彼はJAPANでの活動を終えたあとも、本当に素晴らしい音楽を発信し続けました。

バウハウスのピーター・マーフィーと組んだ「ダリズ・カー」。これぞミック・カーン!!といったベースですね。


ソロアルバム「Titles」より「Tribal Dawn」。一度聴いたら耳から離れない、躍動感のあるベースラインが満載。


土屋昌巳、ビビアン・スーらと組んだThe d.e.p。

この他にも数え切れないほどの活動があります。


ミック・カーンの音に出会ったのは多分大学入ってすぐのころ。
何気なく手に取ったライブ盤「Oil on Canvas」に入っていた「孤独な影」を聴いた時の衝撃は今でも忘れられません。なんて印象的なベースだろう?フレットレスの可能性を垣間見た気がしました。私のベースプレイに本当に大きな影響を与えたベーシストです。どんなに真似しようとしても、あの独特の西洋音楽から外れた感じは出せませんでしたけど。
あのうねるベースが聴けなくなると思うと残念で仕方ありません。

彼がガンを公表したのが2010年の6月。とてもショックだったのを思い出します。
寄付を募集したり、メッセージを届けたりと本当に多くの人々が彼の快復を祈ったことでしょう。
ですが残念ながら、その祈りは聞き届けられなかったようです。
神がいるとするなら、きっと彼の唯一無二の個性を気に入って連れていったのでしょう。もしかしたら天国で凄いバンドを組んでるかもしれませんね!


冥福をお祈りいたします。

簡単! オーバートーンフルートの作り方

今回はPVCパイプで作るオーバートーンフルートを紹介しようと思います。あけましておめでとうございます。


オーバートーンフルート完成図。順を追って作っていきましょう。

まず材料。PVCパイプと丸木。笛の長さは80cmくらいがいいみたいですが適当でも大丈夫です。あとノコギリ、ドリルがあると作業が楽になるでしょう。

まず、パイプの片方を3cmくらいの長さに切ります。
その長さに合わせて丸木も切断。

次に、パイプの頭から4cmくらいのところに穴を開け、写真のような形に切り取ります。この際エッジをシャープにしましょう。(丸くなっているところに息が当たり、音がでます。ここをシャープに。)

このとき、3cmほどに切ったパイプの方も、切り込みを入れます。

次に、丸木の面取りをする感じで角を45度になるように削りましょう。

見にくいですが。

そして、それをパイプに押し込みます。

そこに、短いほうのパイプをはめれば完成!!

こんな形になります。

ね、簡単でしょう?慣れれば10分くらいで作れます。
音が出ない場合はエッジの周辺を調整してみてください。いつかかならずなるようになります。

この作り方を応用すれば、フヤラも作ることができます。
原理さえわかれば応用がきくので、面白くなってくると思います。

これは縦笛的に吹く形になりますが、私が自分で使っているのは横笛スタイル。チューブをつけたミニ・フトゥヤラみたいのも作ってます。

工具がないとちょっとつらいですが、PVCは加工もしやすいので気合でなんとかなるかも?
材料費は300円くらいです。

演奏自体も簡単なので、楽器自作入門にはぴったりの楽器でしょう。

レッツD.I.Y!

アイオナ島に煌めく星 Iona

Ionaはアイルランド出身のケルティックプログレバンド。
プログレッシブ気味のロックにケルト音楽を見事に融合させ、非常に美しく、それでいてハードな音楽を作り出します。

Iona。
ヴォーカルのJoanne Hogg、ギターのDave Bainbrdge、ベース・Phil Barker、ドラムのFrank van Essen、そしてTroy Donockleyからなるバンド。
一見普通の五人組ですが、只者ではありません。フランクはジャンベ・ダラブッカ・ボーラン等多彩なパーカッションのほかにヴァイオリンまで使いこなすマルチプレイヤー

またIonaの音楽性の中心になっているのはデイヴですが、アウトプットされる音の方向性を決定しているのはトロイでしょう。
トロイはイーリアン・パイプ、ティンホイッスル、アイリッシュブズーキといった民族楽器を全く違和感無くロックと融合させます。

そしてIona最大の武器は紅一点、ジョアンヌの歌声。
クリスタルヴォイスと形容されるそれは美しいの一言。幻想的な空気を作り出します。

ジョアンヌはスクウェアのゲーム「ゼノギアス」のEDテーマを担当したこともあります。光田康典作曲で、割とIonaの音楽に近いものをやっています。ここからIonaへ入っていった人も多いとか。かくいう私もその一人ですが。

演奏面でも非常に高い技術とメロディセンスで素晴らしい曲を展開します。
インスト曲も多いバンドですがそのどれもがハイクオリティ。特にトロイのプレイが一際光りますね。

非常に疾走感溢れるパワフルな曲。ただの「民族音楽を取り入れたロックバンド」ではありません。

アルバムも多く出している彼らですが、最初の一枚はライブ盤の
「Heaven's Bright Sun」という二枚組みがいいでしょう。非常にハイクオリティな演奏で選曲も良く、彼らの魅力が詰まっています。
「ケルズの書」を題材としたコンセプトアルバム「Book of Kells」、演奏力に磨きがかかりよりプログレッシヴになった「The Circling Hour 」などがオススメのアルバムです。


美しくもハードなロックとは彼らのことを言うのでしょう。こんなにも幻想的で、プログレッシヴな音楽を他に知りません。
ロック・フォーク・プログレエスニック・さらにはアンビエントを融合させ、彼ら独自の世界観を創り出すその様は、本当の意味での「フュージョン」バンドなのかもしれません。

レス・クレイプール 奇人?変人?だから何?

今日紹介するのは唯一無二の変態ベーシスト・PRIMUSのレス・クレイプール。
彼の前には「ルール」という言葉は存在しないでしょう。

Les Claypool。アメリカ・PRIMUSのリーダーでありベーシスト。帽子にサングラスに髭と珍妙な見た目ですが、出す音も珍妙。
プレイスタイルを一言で形容すると「変態」

6弦のフレットレスベースをガシガシスラッピングし、タッピング・コードプレイでリフを作りながら珍妙な歌を乗せる・・・といった悪ふざけのようなプレイを連発します。

代表曲Tommy the Cat。
おおよそ普通の音楽とはかけ離れた感じですが、やっていることはかなり高度。それを高度に感じさせないところが彼の魅力でもあります。

やっている音楽はミクスチャー系ですが、プログレッシブロックからの影響をかなり受けているようです。彼のソロバンドではピンクフロイドの「Animals」を完全再現してみたり、King Crimsonをカバーしてみたり、またPRIMUSの1stでは一曲目の頭がいきなりRushの「YYZ」だったりとかなりプログレッシヴ。



ソロバンドの演奏。シタールをバンドに入れてみたりとかなりユニーク。バンジョーエレキベースを融合させたような楽器も使ったりします。

本人は釣りをしてのんびり暮らしたり気が向いたときにプライマスをやったりとのらりくらりとしてつかみどころの人物ですが、メタリカのカークに加入のオファーを受けたり、スラッシュメタルバンドに所属していたりかなり面白いエピソードを持つ人物。
人脈も広く、エイドリアン・ブリューのアルバムに参加したりウォーレン・ヘインズがギターを弾いていたり、バケットヘッド、バーニー・ウォーレルらとバンドを組んだり、Phishのトレイ・アナスタシオともバンドを組んだり幅広い活動をしています。意外とジャム・バンドシーンでは重要人物かも!

一般人がパっときいたら顔をしかめるような音楽をやっている彼ですが、一度その魅力にはまってしまうとどんどん引き込まれていく。そんな不思議なベーシストです。
あなたもレス・クレイプールのマッドな世界に足を踏み入れてみませんか?

Kingston Wall サイケデリック・プログレハードの巨人

今日紹介するのはヘルシンキのトリオバンド、Kingston Wall。
そのサウンドは独特で、90年代に現れ彗星のように消えていったバンドです。

Petri Walli 、 Jukka Jylli 、 Sami Kuoppama"ki の三人で結成されたプログレハード・バンド。
その音楽性はRushとLed Zeppelinの融合とも言われます。
非常にスペーシーなギター、縦横無尽に這い回るベース、手数が覆いながらもヘヴィなドラム。そこにアラビア風のメロディを乗せたりする非常に面白いバンドです。

1stアルバム「Kingston Wall」はハードな曲が多いながらも、ジミ・ヘンドリックスの「Fire」のカバーや、アルバム後半を埋め尽くす組曲など、その後の音楽の一端を垣間見ることができます。

2ndアルバム「Kingston Wall Ⅱ」より

うーん、ミステリアスな曲ですね、しびれるゥ!
この曲のほかにもアコースティックギターが印象的なIstwan、デヴィッド・ギルモアの影響も思わせるShine on me など聴き所のある曲が満載。

彼らがサイケと言われる最大の理由は3rdアルバムにあるでしょう。
最後のアルバムとなった「Tri-logy」。これは90年代HRの中でも屈指の傑作でしょう!

CD一枚が全て一続きになっている大作志向のアルバムですが、一曲一曲はコンパクトで聴きやすいものばかり。
元々高い演奏技術に磨きがかかり、かなり独特の世界観、いや一つの宇宙を形成。
最初から最後まで淀むことなくバンドのエネルギーがうねり、聴くものを圧倒します。

この曲では恐らく口琴ディジュリドゥ・ウドゥ的なパーカッションを使用していると思われます。ドロドロとした音の流れを越えて、ギターが入ってきた瞬間の解放感!!

アルバムの前半からこれなんだから飛ばしすぎです。ディープな世界に引き込まれます・・・

こうしてアルバム毎に進化を遂げながら突き進んだKingston Wallですが、
Petri Walliが突然亡くなり(恐らく自殺。教会から飛び降りたとか?)その活動を終えます。

たった3枚でいなくなってしまったバンドですが、この独創的なバンドが今も続いていたらと思わずにはいられません。間違いなく、シーンに多大な影響を与えていたのではないでしょうか。

トリップしたいならクスリはいりません。Kingston Wallを聴けばいいのです!!

超マニアック企画 ミュージカルス・プーンズ 徹底比較 木製vs金属製

今日JPC(ジャパンパーカッションセンター)から荷物が届きました。
カシシと金属製のスプーンズ。
ということで今回は木製と金属製の比較をやろうと思います。まさに誰得

まずは木製から。
やはり木なので音に温かみがありますね。
大きさも大きいので大きく、どっしりとリズムを刻むのに向いてそうです。
小手先のテクニックを駆使するのではなく、楽器の音そのものを楽しみながら演奏するのが良いと思います。独特の、いろいろな音が混ざり合ったサウンドです。私が持っているのは比較的硬くて重いので、速弾きには向いてないかも・・・使い込めば変わるかしら。
サウンド的に、他の民族楽器との親和性も高いでしょう。

こちらは木製、どっしりどころか超軽快。ようするに慣れですね!


そして金属製。
なんといってもまず、演奏しやすい。
軽く小さめなので取り回しがよく、音もシャープ。金属とはいえ嫌なキンキン音はあまりせず、むしろサウンドに適度な味付けを施しています。
連打や指を使ってのテクニックもやりやすく、速い曲や複雑なリズムにも対応できそう。
アイリッシュミュージックをやるにはこちらの方が向いているかもしれません。コンテンポラリーにも問題なさそうです。

左手のテクニックが驚くほど多彩ですね。

もう極めた人にはプレイアビリティ的にはあんまり関係ないのでしょうが、初心者の方には金属製がオススメです。
あとはやる音楽に合わせるのがいいでしょう。

個人的には、ディジュリドゥアサラトなどの原始的な楽器には木製、ギターとあわせて西洋の音楽をやるときには金属製が合う気がします。
といってもウドゥなどには金属製のほうがあうでしょうね。

いずれにせよ、誰でも演奏できて楽しいというのは共通しています。シンプルイズザベストってやつですね。

スプーンをさっと取り出して軽快なリズムを刻めば、人気者になれるかもしれません(お行儀が悪いと思われないように時と場合には気をつけましょう!)

バラライカ ロシアの響き

今日はロシアの民族楽器・バラライカの紹介です。

三角形をした不思議な弦楽器。弦の数は3本。
バラライカの起源は諸説あり正直正確なところはわかりませんが、同じロシアの弦楽器「ドムラ」(こちらは丸いマンドリンに近い楽器)からの派生楽器と考えられています。3角形だと加工が簡単で、元々は農民に親しまれる楽器でしたが、ワシーリ・アンドレーエフによって大きく発展を遂げました。

プリマ・セグンタ・アルト・バス・コントラバスと大きさによってわけられ、バラライカでアンサンブルを形成することもできます。
演奏時はピックを使わず、指で弾きます。5本の指を使った奏法は驚くべきバリエーションです!

低い方2本がナイロンの弦、1弦がスチール弦。
ナイロンはやはりウクレレのようなサウンドになりますが、1弦だけ材質を変えることによって、ロシア民謡にも見られる独特のシャープさを生み出しているようにも思えます。

チューニングは低い方からE−E−Aと2本同じ。これにより3本とは思えない厚みのあるサウンドを生み出します。

幅広い表現ですねー。

コンテンポラリーな演奏はこちら。エクストリーム。

素晴らしい演奏です。

人間、このように制約があるほうが想像力豊かなものが生まれるんじゃないでしょうか?できることが限られてる中で何をやるか。民族楽器はそれを教えてくれる気がします。

さてこのバラライカ、本気で弾くには意外と難しい楽器だと思います。親指で弦をセーハするのはなかなか難しいのです・・・これがギターのFコード的なところかも!
でも素朴な音色で、ポロンポロンゆっくりと弾いてるだけでもなかなか楽しいです。見た目もインパクト抜群ですし。見た人は絶対「なんで三角なんだ!!」という声をあげるでしょう。
ウクレレやギターなんかはよく見ますが、焚き火を囲んでこれを弾けば楽しい雰囲気から哀愁漂うムードまで自由自在かも?