アイオナ島に煌めく星 Iona

Ionaはアイルランド出身のケルティックプログレバンド。
プログレッシブ気味のロックにケルト音楽を見事に融合させ、非常に美しく、それでいてハードな音楽を作り出します。

Iona。
ヴォーカルのJoanne Hogg、ギターのDave Bainbrdge、ベース・Phil Barker、ドラムのFrank van Essen、そしてTroy Donockleyからなるバンド。
一見普通の五人組ですが、只者ではありません。フランクはジャンベ・ダラブッカ・ボーラン等多彩なパーカッションのほかにヴァイオリンまで使いこなすマルチプレイヤー

またIonaの音楽性の中心になっているのはデイヴですが、アウトプットされる音の方向性を決定しているのはトロイでしょう。
トロイはイーリアン・パイプ、ティンホイッスル、アイリッシュブズーキといった民族楽器を全く違和感無くロックと融合させます。

そしてIona最大の武器は紅一点、ジョアンヌの歌声。
クリスタルヴォイスと形容されるそれは美しいの一言。幻想的な空気を作り出します。

ジョアンヌはスクウェアのゲーム「ゼノギアス」のEDテーマを担当したこともあります。光田康典作曲で、割とIonaの音楽に近いものをやっています。ここからIonaへ入っていった人も多いとか。かくいう私もその一人ですが。

演奏面でも非常に高い技術とメロディセンスで素晴らしい曲を展開します。
インスト曲も多いバンドですがそのどれもがハイクオリティ。特にトロイのプレイが一際光りますね。

非常に疾走感溢れるパワフルな曲。ただの「民族音楽を取り入れたロックバンド」ではありません。

アルバムも多く出している彼らですが、最初の一枚はライブ盤の
「Heaven's Bright Sun」という二枚組みがいいでしょう。非常にハイクオリティな演奏で選曲も良く、彼らの魅力が詰まっています。
「ケルズの書」を題材としたコンセプトアルバム「Book of Kells」、演奏力に磨きがかかりよりプログレッシヴになった「The Circling Hour 」などがオススメのアルバムです。


美しくもハードなロックとは彼らのことを言うのでしょう。こんなにも幻想的で、プログレッシヴな音楽を他に知りません。
ロック・フォーク・プログレエスニック・さらにはアンビエントを融合させ、彼ら独自の世界観を創り出すその様は、本当の意味での「フュージョン」バンドなのかもしれません。