Gjallarhorn ― そのしらべは大地の叫び

今日紹介するのは超個性的なトラッドバンド、Gjallarhorn。(ヤァラルホーン)
フィンランドスウェーデンあたりの音楽を源流にもつバンドです。

編成が非常に面白いバンドです。
透明感のある女性ヴォーカル(たまに超音波みたいな声出す)、フィドルヴィオラといった弦楽器、パーカッションが一人、そしてなんと、ディジュリドゥ(!)・口琴(!!)・ビリンバウなど倍音系の楽器を操るトミー・マンシッカ・アホというスーパープレイヤーが在籍していた一筋縄ではいかないバンド。
このヘンテコな編成で北欧トラッドをガッツリ演奏します。

北欧音楽とディジュリドゥ?と思うかもしれませんが、このトミー・マンシッカ・アホのディジュリドゥこそがGjallarhornに力強さを与える原動力です。

1stアルバムより、中盤、トミーのディジュリドゥが入って一気にパワフルに、よりプリミティブな雰囲気が増したのがわかると思います。私はこの曲を初めて聴いたときズガンとやられました。ディジュリドゥの新たなかっこよさを見つけたというか。

文字で見るだけだと北欧トラッドとディジュリドゥは結びつきにくいと思いますが、音を聞いてみると不思議なほどしっくりくる。ディジュリドゥの「リズム楽器」としての側面を垣間見ることができる気がします。


北欧に良く見られる踊るようなリズムにもしっかりと対応。かなり主張の強いサウンドではありますが、バンドから浮いてないところが特筆すべき点でしょう。
他の楽器から埋もれがち/浮きがちなディジュリドゥを「バンドの中の一つの音として」活用している稀有な例ではないでしょうか。


しかし残念ながら2004年にトミーは脱退。
その低音部を担うのはヨーラン・モンソンというコントラバス・ブロック・フルートをエクストリームに吹きこなすプレイヤー。
更なる個性をバンドに持ち込みました。まるでマシンガンのように吹いたり、一聴して吹奏楽器とは思えないようなプレイを連発。ドローン要素も受け持ちますが、音階が出るようになり新たな展開も。
4thのリムファクセからはオーケストラも導入したりしています。新たな魅力が増えましたが、独特の野性味というかまさにギャラルホルンのような力強さは失われてしまったかも。

北欧音楽に興味のある人だけでなく、ディジュリドゥプレイヤーにも是非聴いてもらいたいバンド。新たな可能性が見えてくるんじゃないでしょうか。