ゴピチャン  そしてベンガルの吟遊詩人「バウル」の唄

今回はインドの1弦琴「ゴピチャン」とそれを使うベンガルの吟遊詩人「バウル」のことを紹介します。


ゴピチャンはインドの「バウル」が使う1弦の楽器。瓢箪や木でできた共鳴胴の底には皮が張ってあり、二枚の竹の間に弦が一本。竹の部分をつかむと弦がたわんで「ビョンビョン」と音程が変わります。


激しく弾くとかなりアグレッシヴな音もでます。しかし、バウルが実際に使っているところを見たところ、基本はたわませたりせずに唄のキーにあわせてドローン音的な鳴らし方をしていました。竹がたわむのは微妙なチューニングが可能だからみたいです。

そして、先日ベンガルの吟遊詩人バウルのライブを見てきました。
日本人バウル、かずみまきさんとバウルの第一人者、サドン・ボイラギ氏が出演。

かずみまきさんの歌。動画で見ても感動が蘇ります。

バウルはベンガル地方で活動する吟遊詩人。その宗教観というか思考は独特で、あらゆる宗教やカーストなどに束縛されず、また人間の体自体に神が棲んでいるという考えを持っています。かずみまきさんの言葉を引用すると、

バウルとは… 唄をうたう修行者
   風のように何ものにもとらわれず、
      自らの内なる神を愛し、
         その愛に酔う。

と言っています。彼らの歌はまさに魂を開放させるような歌です。かずみまきさんの歌を聴いた瞬間全身鳥肌、涙が出そうになりました。まさに本物。

音楽的には、グングルとフィンガーシンバルをメインに躍動感溢れるリズムを刻み、ゴピチャン・ドータラ・タブラ・アナンダ・ラホーリーなどの楽器を使います。
このアナンダ・ラホーリーというのが非常に面白い楽器で、小さい太鼓に弦が2本ついており、それを張ったり緩めたりしながら巨大なピックのようなもので弾き、リズムを刻みます。

彼らの活動は多分に宗教的な意味を持っていると思いますが、経典などは持っていません。ここにも何者にも属さず、束縛されないという考え方が現れているのでしょう。

彼らは日本各地でも割と頻繁に演奏を行っているようです。
彼らが近くに立ち寄った時は、ライブに足を運ぶことを強く勧めます。

純粋に素晴らしい音楽と、彼らの考え方に触れることで、悩みなど全て吹き飛ぶでしょう。